シンポジウム「戦争法案と自衛官のリアル」&平和願う大宮デモ
7月19日、VIP埼玉の主催したシンポジウムとデモが大宮で開かれ、多くの人で賑わう大宮駅前に、300人を超えるデモ参加者の声が響き渡りました。VIP埼玉は、県内の高校生・学生を中心に結成された団体。今回が初めての企画で、今後も憲法と平和のための活動を続けていきます。
○国民を守るつもりで軍隊に入ったが
デモに先立って行われたシンポジウムでは、「戦争法案と自衛官のリアル」と題して、元埼玉弁護士会会長の柳重雄さんと元自衛官の片爪英隆さんが登壇。それぞれの立場と経験から、戦争と自衛隊について具体性のあるお話をしてくださいました。今は千葉県で農業に従事しているという片爪さんは、なぜ自衛隊を辞めたのかとの質問に対し、「国民を守るつもりで自衛隊に入ったが、実質はほぼ軍隊。軍隊が守るのは国民ではなく国体。国体とは何かを突き詰めて考えると、それは会ったこともない政治家のエゴでしかない。それに命は賭けられなかった」と答えてくれました。国境警備の仕事に就いていたという片爪さんは、一回の飛行訓練でドラム缶10本分もの燃料を消費することにも疑問を感じ、それも自衛隊を辞める大きな理由になったと話してくれました。
弁護士の柳さんは、もし戦争法案が成立してしまった場合、違憲だと訴えることはできるかとの質問に、「憲法裁判所が設置されている国もあるが、日本の場合は個別に事例が起こって初めて訴訟を起こすことができる」仕組みであるため、法律自体を訴えることはできないが、この法案が成立した場合「国民の税金を軍事費に投入することになるので、憲法が保証する平和的生存権を侵害している」として訴訟に持ち込むことは不可能ではない、と答えてくれました。
さらに、法案成立後に予想される政権の動きについて、「実際に戦争をするには、戦死者を受け入れる社会構造に作り変える必要がある。それは教育の分野などで既に始められている。さらに、戦争は金がかかるため、社会保障費を削って軍事費に回すしかない。財政再建が憲法に書き込まれたときには気を付けた方がいい」と話してくれました。
○信頼こそ抑止力
今後、日本は国際社会にどう関わっていくべきか、という質問に対し、片爪さんは「アフガン戦争後の部族対立を解消する際、アメリカもロシアも重火器の武装解除ができなかった。しかし日本の交渉団にそれができたのは、日本に対する信頼があったから。信頼こそがもっとも大きな抑止力になる」と答えると、会場からは大きな拍手が起こりました。
大宮駅前でのデモの様子.