日本共産党川口市議団は8月7日に法務省 ・ 厚生労働省 ・ 文部科学省に「 外国籍住者の命と人権を守るため国の法整備、 制度構築を求める要望書」 を提出し、約一時間にわたり現状を知らせ改善を求め発言してきました。 要望書の全文は下記のとおりです。 この要望書は、 日本共産党の蕨市議団 ・ 埼玉県議団とともに提出し、 塩川鉄也衆議院議員、 伊藤岳参議院議員、 梅村さえ子元衆議院議員も同席して要請が行われました。

川口市や蕨市などで特定の民族を排斥することを揶揄する街頭での行動が今年4月5月に特に集中して行われ、 地域住民をはじめ市内に居住する外国籍居住者からも安心してくらしていくことに不安の声がありました。

日本共産党市議団は、 ヘイトスピーチ禁止法を遵守すること、 ヘイトスピーチを規制する法律に改正することを求めています。

また、 日本の入国管理制度の中で、 日本で生活しながら住民票も健康保険もなく働くこともできずに不安定な生活を余儀なくされている方が川口や蕨にもおり、 日本語習得への援助や仮放免者の生活の安定に資する制度構築が必要であることを近隣で起こっていることを訴えてきました。 法務省は仮放免者は退去強制手続き中の一時的な措置と答弁を繰り返し、 特定在留許可の手続き等の状況も答えられませんでした。

特に保護者が仮放免で居住している場合、日本で生まれ育ち、学校に通う子どもたちも仮放免者とされ、 病気になっても病院にいくことができない、 部活動や校外学習への参加が制限される実態なども改善が求められます。

外国籍居住者の命と人権を守るため国の法整備、制度構築を求める要望書

川口市 ・ 蕨市には多くの外国人が住み、 その中には難民申請中の特定在留者や仮放免の方も多く生活しています。 仮放免の状態で生活している方は、 住民票もなく、 医療も教育も労働も移動も不自由な状況におかれています。 これまでも川口市は人権保障の観点から国に改善を求めてきており、 川口市・ 蕨市としても多文化共生のとりくみや、 教育や日本語習得の機会の確保、 保健行政など人道的立場から市や市民、 市内の医療機関などが対応にあたっています。

特に必要な時に医療を受けられない非人間的な状況は近代国家ではありえない事態と言えます。 そもそも、 これは国の入国管理制度と難民認定率の低さに起因するものであり、外国籍居住者の命と人権を守るための法整備と制度構築をすべきです。

昨年の入国管理制度の改定により、 長く日本で生活する方も含めて難民申請を2回に限定し、3回目以降は相当の理由がなければ強制送還を可能とする制度が今年6月から施行されました。 自治体では生活基盤が不安定なまま居住する外国人住民の実態を把握できないため、 現状では行政の支援が難しく、 新たな「 監理措置制度」 も含め行政が提供する施策の対象とならないため、 まず少なくともは国として生活支援が整うよう進めるべきです。

また、 この数か月の間に川口市 ・ 蕨市の両市ではクルド人という特定の民族を非難する言動を行う街頭宣伝やデモが頻回に実施され、インターネット上でも両市にかかわる差別的な言動や外国人居住者を事実と異なる言葉で揶揄する書き込みなどを目にします。

川崎市などのいくつかの自治体では条例で禁止したため、 他市でヘイトスピーチをしてきた団体や個人が条例を制定していない自治体で活動している状況もあります。

平成18年に施行された「 本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消に向けた取り組みの推進に関する法律」 いわゆるヘイトスピーチ解消法ではヘイトスピーチを禁止する規定がないなどの課題があります。 本来は国が命や人権を尊重し、国籍・人種・民族などを理由とした差別意識を助長・誘発する目的の言動を禁止する法整備をする必要があります。

よって日本で暮らす外国人居住者が安全に生活できるよう国が法整備を行うとともに、制度を構築していただくようよう求めます。
                   記
1、国の入国管理制度を命と人権を尊重した制度にするよう求める
( 1)仮放免者の生活の安定に資するような就労を可能とする制度を構築すること
( 2)命と人権を尊重する立場から、 仮放免者や監理措置に該当する外国籍居住者に対し健康保険への加入を認めることやその他の教育や保健行政などの国からの援助を国が実施すること
( 3)仮放免者の行動範囲の制限について、 児童生徒の学校での教育活動( 校外学習や部活動など) に関する県外活動は申請しなくても可能となるようにすること。

2、ヘイトスピーチについて
( 1)ヘイトスピーチ解消法を改正し、 ヘイトスピーチを行ってはならない旨の規定を設けること
( 2)当面、 現行法において規定される国の責務を果たすためヘイトスピーチを許さないという法の趣旨を広く周知すること。 そのための予算の拡充と自治体との連携を進めること

Author: ichiri